大和本草

十一薬木

梔　木草此花皆六出、甚芬香、史記貨殖伝雲、巵茜千樹、与千戸侯等、言獲利博也、枝お切て陰地にさせばよく活く、正月及梅雨の時よし、又実おまくべし、長じやすし、これお並木にうふべし、花早くさき実なる、愛すべし、又民用に利あり、和名くちなしと名づけしは、他果はからある物皆口おひらく、梔子は、からあれども口なし、故に名づく、家園及里巷にうふる者は薬に勿用、隻染色に用ゆ、薬には在山者可用、故山梔子と雲、黒炒にして末し酒にて服、熱心痛及鼻衄お止む、又千葉の小梔あり、木梔子と雲、花木に著はす、