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重修本草綱目啓蒙
二十五灌木
楊櫨 たにうつぎ(○○○○○) やまうつぎ(○○○○○) さつきばな(○○○○○)〈越中〉 だいはうのき(○○○○○○)〈同上〉 づくなしば(○○○○○)〈越後〉 さおとめばな(○○○○○○)〈能州〉 さおとめうつぎ(○○○○○○○)〈雲州〉 あかうつぎ(○○○○○)〈播州〉 あかつげ(○○○○)〈土州〉 けたのき(○○○○)〈仙台〉 へいない(○○○○)〈丹後〉 へいないうつぎ(○○○○○○○)〈同上〉 みやまかずみ(○○○○○○)〈紀州〉 あかてうじ(○○○○○)〈駿州〉 ひきだら(○○○○)〈江州〉 一名牡荊〈正字通、同名あり、〉 山足に多し、小木にして高さ数尺に過ぎず、葉は土牛(いのこづちの)膝葉に似て厚く、辺に細歯あり、毛茸多し、枝葉両対す、四月に花お開く、因て此もうのはな、或はあかうのはなとも雲、江州越前にては此もひきだらと雲、花は五弁、本は筒子にして、錦帯花の形の如にして小なり、浅紫紅色、又深紅色なる者白色なる者あり、皆六七寸の穂おなして葉間に出、後小莢お結ぶ、長さ六七分、熟して黒褐色、中に細子あり、 増、一種はこ子うつぎ(○○○○○○)と呼ものあり、高さ六七尺中空なり、冬月落葉して春新葉お生ず、紫繡毬(あぢさいの)葉に似て闊く、淡緑色光あり、辺に鋸歯あり、四五月葉間に毬おなして花お開く、初め開く時は白色、翌日紅に変じ、紅白相交りて美なり、一花の形たにうつぎより大なり、漢名錦帯花〈秘伝花鏡〉