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草木育種後編

下種之事 駿州に柃山茶(ひさかきつばき)等に生ずる寄生あり、形扁柏(ひのき)に似たり、このもの寄生したるおひのき山茶といふ、〈寛保年中将翁先生鈴鹿郡高宮村より採り官に奉りし事あり、即此ものなり、一名あやつばきともいふ、〉灌園先生雲、此木の下へ諸の常盤木お栽置ば、実落て自ら寄生お生ず、およそ実お撰ぶには、中心の実お上とす、枝に付実は下品なり、図の如く枝の実お栽れば、根に又お生じて鬚多し、牛房など又多きは枝の実なり、薬品にても独活羌活白芷(どくくわつきやうくわつひやくし)等、根に又多きは下品なり、実おとる時心得あるべし、