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源氏物語
四十九寄生
木がらしのたへがたきまで吹とおしたるに、残る木ずえもなくちりしきたるもみぢお、ふみ分けるあとも見えぬおみわたして、とみにもえいで給はず、いと気色ある深山木に、やどりたるつたの色ぞまだのこりたる、こだに(○○○)などすこしひきとらせ給て、宮へとおぼしくてもたせ給、 やどり木と思ひいでずばこのもとの旅ねもいかにさびしからまし、とひとりごち給おきヽて、あまぎみ、 あれはつるくち木のもとおやどりぎと思ひおきけるほどのかなしさ、あくまでふるめきたれど、ゆへなくはあらぬおぞ、いさヽかのなぐさめにはおぼされける、