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倭訓栞
前編十四/多
たけ〈◯中略〉 雄竹おから竹(○○○)といふ、常の竹也、雌竹おみがこ(○○○)といふ、後まで皮つけり、業平竹(○○○)は雄竹にて、節は雌竹のごとし、よて名く、箱根竹(○○○)は細長し、品川竹(○○○)は川竹(○○)の如し、薩摩竹(○○○)は雌竹の品、兼好竹(○○○)は竹うるはしく、葉ものびやかなる物也、三(○)〈つ〉股竹(○○)は武蔵足立郡芝村にあり、実竹(○○)あり、よなしとぞ、又節一つにて段々まきあげたるあり、美濃高須の南かちあひといふ所の八幡の社内に豊竹(○○)あり、囲四五寸もあり、寒竹(○○)の大なる如し、八月笋お生ず、当摩のまんだらにつきたる軸、一節一丈余あり、今洛東の禅林寺にあり、こは南広の篔簹竹(○○○)なるべし、葉竹(○○)は淡竹、真竹(○○)は苦竹、土用竹(○○○)は鳳尾竹、鳳凰竹ともいふ、笋お生ずる三伏にあり、南京竹(○○○)は義竹、しゆろ竹(○○○○)は椶竹、金竹(○○)は対青竹、島竹(○○)は、黄金間碧、玉竹淡竹(○○○○)と呼は秋蘆竹、玳瑇竹(○○○)、班竹(○○)、箭竹(○○)の称は和漢同じ、漢竹(○○)可為桶斛者は豊後より出、黒竹(○○)は薩摩にあり、和漢の称同じ、簜竹(○○)如蘆葦といふ者も和漢同じ、布袋竹(○○○)は仏面竹、観音竹(○○○)和漢同じ、四方竹(○○○)は方竹也、乳児竹(○○○)は山白竹、根篠(○○)は千里竹、かしろ竹(○○○○)は皮白の義、䈽竹也、翁竹(○○)あり、葉に島あり、雪竹(○○)の類也、夜叉竹(○○○)あり、北地に出、一節ごとに四方に枝さし出る竹は吉野竹林院にあり、孟宗竹(○○○)は近年渡来す、対青竹は美濃にあり、一節に両方に枝さすふたまた竹(○○○○○)は天親竹也、紫竹(○○)お竿などに忌は、湘浦の故事によれりと雉囊抄にみへたり、