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古今要覧稿
草木
おきな竹翁竹、一名杢目竹(○○○)は、漢名お間道竹(○○○)といふ、其幹節并に苦竹に似て、高さ一丈余、囲み四五寸に至る、此竹始め独枝にして、後に双枝のもの多し、その双枝お、必ず左右互に大小の異なる事なり、なお苦竹の如し、葉は大抵淡竹葉に似て、五葉お一朶とす、また三葉のもの、四葉のものあるは、年お経て二葉或は一葉の、おのれと枯落しにて、全形にはあらず、其葉表裏の透りて、淡黄白色の縦道三五行青葉中に間して、児篠の如く、葉本より葉先に至る、また梢葉に至りては、却て青色にして、縦道なきもあり、此即西土にいはゆる間道竹なりといへ共、邦産たヾ幹水竹の如く、毎叢或は十四五葉に至らざるお異なりとす、今松平越中守大塚の下邸に、杢目竹といふものあり、即これと同種なり、又一種その葉大なる事、苦竹と一様にして、毎青葉のうち、たま〳〵左枝に一葉、或は右枝に一葉、その葉の正中或はかたよりて、一行二行の間道あるものあり、これは全く苦竹の変生なり、