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古今要覧稿
草木
小町竹こまちたけ(○○○○○)は漢名お簜竹といひ、琉球名お麻手古竹(○○○○)といふ、今本所外手街弁天小路青木曙左衛門庭中にあり、其竹高さ一丈五尺許、径六七分、節隆起して頗る筇竹の趣ありといへども、筇竹よりは至て低し、その節間相さること、おほよそ一尺余、毎節三枝お生じ、その枝諸竹より長し、毎枝七八葉、或は十葉、或は十二三葉おつく、その一葉の状苦竹に似て、極めて大にして、頗る若葉の如く、その葉本すべて細褐毛ある事、又苦竹の如し、此笋諸竹と同じく、四五月の頃に生ずれども、秋に至れば、また根節上再び小笋お抽出て、年お経て枝となる、此竹嶺南に生ずるものは、秋根傍大笋お出し、綿々として絶ずと〈竹譜詳録〉いへ共、本邦のものは然らず、これは風土に寒暖の異なる事あるによりて也、〈◯下略〉