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古今要覧稿
草木
くろちくくろ竹は漢名お黒竹一名烏竹といふ、即和漢通名なり、また一名お篶竹、或は烏歩竹ともいふ、此竹小野蘭山は播磨にありと〈本草綱目啓蒙〉いひ、谷川士清は薩摩にありと〈和訓栞〉いふ、佐藤成裕曰、薩摩の産はその竹雄竹に似て、幹極めて紫黒色なりと、この種播磨に産するものと、同種なるや否おしらず、今松平越中守大塚の下邸にあるものは、高さおよそ七八尺、枝葉並びに紫竹に似て、其色紫竹よりも極めて黒し、此種は即漢産のよし、一種観音竹(○○○)あり、また黒竹と名づく、その幹細小にして長さ二丈八九尺、状古藤の如し、〈瀛海勝覧〓苑詳註〉また一種烏竹あり、笋おいだす時、その色黒し、〈竹譜詳録〉また糸竹一名黒竹あり、〈茅亭客話〉ともに和産これある事おきかず、