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古今要覧稿
草木
通糸竹通糸竹は枝幹並に矢竹に似て、節の平らかなることも、亦矢竹の如し、その葉皆仰出して上に向ひ、下垂する事なきは此竹の性也、その葉の状矢竹よりも極めて細小にして、長さ一尺許、広さ三四分お過ぎず、毎茎おほよそ五葉お以て一朶とし、その五葉のうちにて、上の二葉は対生にして、下の三葉は互生なり、その幹新年のものは籜ありといへ共、年お経れば皆落る事矢竹の如し、此種その根窠盤結して、叢生数十百幹に茎るもの、今松平越中守大塚の下邸にあり、一種仰葉竹あり、その竹前条と一様にして、毎茎上八九葉或は六七葉つくるお異なりとす、此種今巣鴨の種樹家にあり、