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倭訓栞
中編九/佐
さヽ 神代紀に狭々と見えたり、古事記に訓小竹雲佐々、万葉集に小竹細竹およめり、さヽやかなる竹也、篠は倭名抄にみゆ、笹は倭の俗字也、神功紀の歌にさヽといふお釈に謂楽也と見えたり、神楽さヽのうたに、瑞籬の神の御代より篠の葉お手草にとりて遊びすらしも、此意成べし、万葉集には神楽おもよめり、江次第石清水臨時祭試楽に、舞人呉竹おもて挿頭とし、竹文青摺袍おきるよしいへり、されば神楽に篠お用る其故ある也、天照大神磐窟かくれませし時に、天鈿女命の俳優したまひし、是ぞ神楽の始めなりける、その時以竹(さヽ)葉為手草といふ、旧事紀古事に見えたり、