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古今要覧稿
草木
五枚篠 〈おかめざヽ(○○○○○)〉五枚篠、一名豊後篠、一名おかめざヽは、高さ一尺八九寸より、或は三四尺に至る、その幹極めて細小なりといへ共、毎節隆起する事、頗る雄竹の如し、此竹すべて根上二三節より、三枝或は四枝お分ちて、三葉四葉お一蓋とし、それより以上は、毎節五枝お別ちて、五葉お一蓋とす、その枝長さ四五分にして、二節あり、葉は即其二節上より生じて蓋おなすお以て、これお熟視せざる時は、唯葉茎のみにして枝なきが如し、其梢上に至りては、また三枝お生じ、三葉お一蓋とする事、なお根上の二三節と同じ、扠根上の三葉節の左側に付て生ずる時は、其次の五葉は必ず節の右側に生じ、二葉は左に向、三葉は右に向ふ、その右に向ふ三葉は、中の一葉大にして、左右の二葉はやヽ小さし、其大なる一葉は左に向、二葉の小さきは根上の三葉とその大さ略同じ、その葉の状、大抵雄竹に似て、雄竹よりは短く、また闊大にして甚薄し、その幹すべて葉のつくかたは扁にして、中に一線路高く起り、葉のつかざるかたは、全く正円なる事常竹と一様なり、今人此竹お採、瀝お去りて箸とす、甚だ雅趣あり、また此笋は四月の末五月のはじめに生じ、状茅針に似てやヽ扁たく、其籜紅紫淡黄の両色相交りて、別に紅紫色の細縦道ある事、全くはちくの如し、