[p.0756]
傍廂
後篇
九穀皇極天皇紀に、元年八月、天皇幸南淵河上、跪拝四方、仰天而祈、即雷大雨、遂雨五日、普潤天下、〈或本雲、五日連雨九穀登熟、〉於是天下百姓、倶称万歳、曰至徳天皇雲々、この細注の九穀は、谷川士清が紀の通証に、黍、稷、朮、稲、麻、大麦、小麦、大豆、小豆、これお九穀といふは誤れり、彦麿雲、九穀の九は、五の誤字なり、麦は大麦、小麦、蕎麦、穬麦なべて麦の一種なり、粟は丹黍、秬黍、朮粱米なべて粟の一穀なり、米は黍〓なべて米の一穀なり、豆は大豆、烏豆、燕豆、大角、小豆なべて一穀なり、薭は胡麻、荏、香藁、葟子なべて一穀なり、されば九字は五字の誤なる事うつなし、