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重修本草綱目啓蒙
十七/麻麦稲
秈 たいとうごめ(○○○○○○) とうぼし(○○○○)〈筑前〉 とうぼうし(○○○○○)〈加州糯名〉 一名占米〈食物本草〉 粘〈通雅〉 秈稲〈同上〉赤白二種あり、粳糯の分あり、皆性軽くして、病人の食となすべし、柔なる飯も、冷になれば〓くなる、この種もと舶来なる故、たいとうごめと雲ふ、唐山の大冬米お以てこれとするは非なり、増、秈米は皆早稲にして晩稲なし、赤白の二種ありと雖ども、白粒よりは赤粒の者実多きゆへ、多くはこれお栽ゆ、肥前蓮池より来る者お上品とす、この品性軽しと雖ども、最下品にして賤民の食なり、病人食ふべからず、唐山の大冬米と雲は、泉州府志閩書等に出づ、然れども大冬とありて米字なし、香煎には秈米お用ゆ、其方陳皮茴香各二銭四分、〓苡仁八分、秈米一銭半、夏月一銭二分、山椒八分、右各炒為細末、加焼白塩少許、点湯服以代茶、これ京都祇園の名物なり、祇園こがしとも雲ふ、