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経済要録
八/百穀
旱稲は俗に畠稲と雲ふ、此にも早中晩、及び粳も糯もありて、甚多種なる者なり、先年予〈◯佐藤信淵〉遊歴中に、諸国より此畠稲の種子お聚めしに、大平、治部、五十日、熊糯、日陰早稲、堤固(かため)、旱糯、霖雨早稲(あめふりわせ)、振袖糯、波潜(なみくヽり)、八尺糯等、凡十七種お得て、此お門人白井忠蔵と雲者に預て、此種子お失ざらんことお命ぜり、白井は、上総国埴生の郡岩川村の豪農なり、