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成形図説
十六/五穀
宇流志禰〈◯中略〉奥手、〈万葉集◯中略〉於志禰、〈◯註略〉遅稲(おそいね)、後稲(おくれいね)、田床(たとこ)〈床は即地なり、此者久しく田地に在るより呼べり、〉晩稲〈爾雅翼、本草時珍雲、十月収者為晩稲、又雲、諸本草独以晩稲為粳者非矣、今按に吾邦古の時に、凡稲の名お奥年となも称て、晩稲の事に係てしは、稲の最上ものなるがゆえなり、さらば彼土のむかしも、かくぞありて、晩稲の事お粳とのみせるもありぬべし、時珍却てしりぞけしは、方なるお円にせしともいふべし、通雅雲、東璧専以糯為稲、殆泥〓稲之注乎、晩稲未必尽是〓也、〉〓、〈礼記、〓稑之種、註先種後熟曰〓、詩疏〓作童註同、〉匹、〈内則註、匹音〓、熟而〓之曰匹、正字通雲、即今晩稲也、是此間の俗謂出来刈也、宜しく〓の字と照し考ふべし、〉晩米、〈本草必読〉晩禾、〈説文〉奥手は即奥年なり、奥は後(おくるヽ)と通ふ、其熟の遅おいへり、年は前にいへるがごと、穀の名なれば、猶晩禾とあるにひとしきぞ、さるお奥手は唯晩の義とのみ解は、手といふこと、何なるわけおしるべからず、