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安斎随筆
前編十一
穎幾束 倭名類聚抄国郡部に、穎幾束と見へたり、束の事詳ならず、然れども田令義解に雲、段地穫稲五十束、束稲舂得米五升也、於町須得五百束也とあり、束の稲舂て米五升お得るとあれば、いまだ磨らざる時は、一束の稲の米一斗計あるべし、是にて大概一束の分量おしるべし、和名抄に、稲幾束とも穎幾束ともあり、同事なれども、穎字お宜とすべし、又雲、右にいまだ磨ざる時は一斗計あるべしと雲たるは、もみお磨るお以て雲也、舂て得米五升と雲も大概お雲なるべし、一茎に稲の多少年の熟不熟によつて不同あるべし、されども大概お知るべき也、