[p.0803]
東雅
十三/穀蔬
穀もみ 倭名抄に穀はもみ、日本紀私記に読てたなつものといふと註せり、其義は並に不詳、〈もみとはもはもえ也、もえとは萌也、みは実也、其萌芽お発すべき実おいふ也、(中略)穀の字の如きは、五穀といひ、六穀といひ、八穀九穀なども雲ひて、百穀といふに至りぬれば、凡穀種みな呼て穀といふべければ、日本紀には、其字読てたなつものとはいひけり、亦読てもみといふが如きは、むねと稲実おいふ事にやあるらん、我国の俗に、籾の字創造りて、もみとよむ事、日向国風土記に其字みえたれば、因り来る所既に久しき如くは見えたり、〉