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重修本草綱目啓蒙
十七/麻麦稲
小麦 まむぎ〈和名抄〉 こむぎ〈同上〉 麦 としこしぐさ〈古歌〉 むぎ 麦一名布亥〈事物異名〉 崆峒子 芒穀〈共に同上〉 昧〈丹鉛録〉 宿麦〈爾雅翼〉 首種〈同上〉 〓〈卓氏藻林〉 義麦〈類書纂要〉小麦は苗大麦より小く、穂も亦小し、穂に四稜六稜の別あり、その芒ある者お蜈蚣麦〈蘭谿県志〉と雲、芒なき者お火焼麦〈青蒲県志〉と雲、和名ぼうずむぎ、しろぼうず、あかぼうずの品あり、佐渡にてはしろぼうし、あかぼうしと雲、小麦の品凡五十余あり、小麦は飯に炊かず、隻磨して麺となす、〈◯中略〉増、此ヽに小麦は苗大麦より小く、穂も亦小しと雖ども、小麦は葉狭く茎細く勁して、其苗大麦より高きこと二尺許、又小麦の品総て五十余種と雖ども、これは稞麦お混淆するなり、稞麦は数十品あれども、小麦は十品に盈たず、〈◯中略〉一種春蒔て夏熟する者あり、土州及筑前等にあり、はるむぎと呼ぶ、即蘇容春種至夏便収と雲是なり、