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百姓伝記

小麦は上食たる故、色々菓子になる、味ひよきものなり、小麦お挽にしめりおかけ、石うすにてこまかにひき、とうぶるいにてふるひ粉となして、まんぢうにもそうめんにも、そのほかさま〴〵の菓子にこしらへ、またあらき粉お引かへし、うどんきりむぎに用ゆ、粉に挽こと三四遍に及びふすまおとるべし、此ふすまおうすに入れ、水少づヽ入つくに、しば〳〵とかたまる、また桶に入てもみ、足にてふみ麩おとるなり、また麩お取たる洗汁おため、せうふお取り糊にするなり、重宝かぎりなし、