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太平記
十六
小山田太郎高家刈青麦事去年〈◯建武二年〉義貞西国の打手お承て、播磨に下著し給時、兵多して粮乏、若軍に法お置ずば、諸卒の狼藉不可絶とて、一粒おも刈採、民屋の一おも追捕したらんずるものおば、速に可被誅之由お、大札に書て、道の辻々にぞ被立ける、依之農民耕作お棄ず、商人売買お快しける処に、此高家敵陣の近隣に行て、青麦お打刈せて、乗鞍に負せてぞ帰ける、