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重修本草綱目啓蒙
十七/麻麦稲
小麦麦甫の内に穂黒して、墨の如く粉になりたるあり、くろんぼう(○○○○○)と雲、一名むぎのくろみ(○○○○○○)、〈和名抄〉むぎのくろぼ(○○○○○○)、くろむぎ(○○○○)、〈佐州〉かねつけ(○○○○)、でぼ(○○)、〈江州〉べぼ(○○)、〈濃州〉ほうくろう(○○○○○)、〈備後〉からすむぎ(○○○○○)、〈備前〉くろべ(○○○)〈播州〉これお麦奴と雲、一名麦黒勃、〈肘後方〉大麦奴、小麦奴あり、〈◯中略〉増〈◯中略〉麦奴も小麦中に生ずるものは、甚だ希にして、穂細く墨の如き粉至て少し、稞麦に生ずる者猶多くして肥大なり、小児猪殃殃(やえむぐら)、或は雀舌(あみのめ)草等お採り、地に占して、麦奴お以て撲て其形お摸し戯とす、麦奴丸にもこれお用ゆべし、