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成形図説
十九/五穀
豆黍〈此ものヽ子粒大大豆の如なればいふ、今奥州及北陸の称呼なり、〉珠黍〈多識編〉 唐諸越〈本朝食鑑◯中略〉 薩麻黍〈是甘藷南瓜のごとく、其始て中国に致せるお以て、本藩(鹿児島)にては唐黍といふ、今蜀黍お呼て唐黍とせるは誤也、蜀黍は本おのづから斯邦一種の物ありしといへり、◯中略〉此もの三種あり、或雲舶来のものにて固蛮産に係れり、二月に蒔植て七八月熟ぬ、子の色に紫赤と白黄あり、紫赤なるは黏り、黄白はねばらず、炒折(はせ)となすには、紫赤お佳とす、此もの苞より頭鬚お出し、初は紅に、老ては赤黒くなる、其初出お嬰児婦女と目て玩ぶ、其形上巳の縷人に肖たれば也、焙て食ふ、又鍋に入洩(ゆづれ)炒ば、珠粒脹撫て梅花なすあり、又子お炒磨て沙糖に和て菓子となすべし、或は飯に炊き酒媒にまじへ、或焼酎に造る味旨し、茎亦汁ありて微甜し、