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倭訓栞
前編二/阿
あし〈◯中略〉 葦は初めの義なりといへり、開避の初めまづ生じたるものは葦なり、よて此国お葦原中国といふなり、白き条あるお難波あしといふ、篳篥の簧には、津国鵜殿の葦お用うといへり、あしのほわた 蘆の穂お衣の絮にするおいふ也、小窻清記に、製柳絮枕蘆花被以連床夜話すとみえたり、真に似たる中の偽といふ連歌に、蘆の穂はかさねし衣のわたならで、是は憫子騫の故事也、