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重修本草綱目啓蒙
十/湿草
蘆 ひむろぐさ たまえぐさ なにはぐさ さヾれぐさ はまおぎ〈以上古歌名〉 あし〈和名抄〉 よし 一名蒲蘆〈琅邪代酔編〉 華〈爾雅〉 蕟〈通雅〉 蕟〈同上〉 葦子草〈訓蒙字会〉水辺に多く生ず、春旧根より苗お生ず、初め出る時笋の如し、唐山の人は採り食ふ、これお蘆笋と雲、然れども南土の者は堅くして食ふべからず、北土の者は柔にして食ふべし、今清商食用に持来る者、長さ三寸許二つに剖て蒸し乾したるもの也、是お水に浸し煮食ふ、苗長ずれば高さ丈余枝なし、葉は竹葉に似て長大互生す、秋に至て茎梢に穂お出す、菅(かや)の穂の如くにして枝多し、長さ一尺余、秋の末茎葉共に枯る、一種茎幹至て粗大なる者お鵜殿のよし(○○○○○)と雲、摂州島上郡鵜殿邑の名産なり、茎お用て篳篥の義嘴に作る、このよしは証類本草蘇容の説に、深碧色なる者、謂之碧蘆と雲者なり、集解にこの説お引けども、謂之碧蘆の四字お脱せり、宜しく補ふべし、〈◯中略〉〓(○) ひめよし(○○○○)一名よしもどき、すだれよし、かなよし、〈仙台〉ひよひよ、〈濃州〉蘆の一種形小なる者なり、