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摂津名所図会
四下/大坂
片葉蘆(かたはのあし/○○○) 按ずるに、都て難波は川々多し、淀川其中の首たり、其岸に蘆生繁りて、両葉に出たるも、水の流れ早きにより、随ふてみな片葉の如く、昼夜たへず動く、終に其性お継て、跡より生出るもの、片葉の蘆多し、故に水辺ならざる所にもあり、難波に際(かぎら)ず、八幡、淀、伏見、宇治等にも、片葉の蘆多し、或雲、難波は常に西風烈しきにより、蘆の葉東へ吹靡きて、片葉なる物多しといふは僻案なり、