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明良洪範
続篇三
本多美濃守忠政領地巡見の節、上田と見へる田地に、蒲菰お多く作り茂りて有けるお見て代官お呼び、此田地は上田と見ゆるに、いかなれば稲お作らで、かくまこもお作らせけるやと尋ければ、代官答て、此まこもは馬具に用ひ候へば至て宜敷、其価ひも稲に増り候、大坂表へ廻し、切付肌付に製し候に、当地の蒲こもお第一の蒲こもと致候、是故に年々多く作らせ申也と雲、利勘第一の忠政も、猶の事也迚、其儘過ぎられける、