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重修本草綱目啓蒙
十二/湿草
藎草 かりやす(○○○○)〈和名抄、同名あり、〉 かいな(○○○)〈同上〉 こぶなぐさ(○○○○○)〈京〉 さヽもどき(○○○○○)〈江州〉 かいなぐさ(○○○○○)〈播州、筑前、〉 一名白脚蘋〈資暇録〉 淡竹葉〈華夷考、同名多し、〉 鹿蓐〈爾雅翼〉随地に多く生ず、細茎地に鋪き節節葉お互生す、竹葉に似て短く長さ一寸許、薄くして横に皺ありて平ならず、秋月枝の末ごとに小穂お出す、馬唐穂に似て小く、七八分に過ぎずして紫色なり、又緑色なるもあり、此茎葉お煎じて紙帛お染れば黄色となる、本邦染人黄色お染るに用ゆる草は、江州長浜より多く出す所のかりやすなり、其草は伊吹山に多く産す、又伊賀伊勢阿波伊予播磨に多し、葉穂共に芒に似て小なり、これ陸疏広要に載る所の青茅(○○)なり、藎草と同じからず、かりやすの名同じきによりて混ずべからず、一種葉細長なる者あり、穂も異にして狗尾草(えのころぐさの)穂の如し、是一種の藎草なり、