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農業全書
六/三草
菅すげお種る法、八月古かぶお引わりて、三本程づヽ一手に取、間お五寸許おきて、稲おうゆるごとくにし、糞は何にてもいとはず、鰯などは雲に及ばず、有所にては牛馬鹿などの毛お糞にするもよし、二三月の比、わかく出る心葉おぬきて捨べし、其まヽ置ばわきの葉さかへず、刈干事は藺にかはる事なし、土用の中刈て、晴日に干し上、筵に包み煙の当らぬ所におくべし、長短おえり分る事は、桶お前におき、其中にて本おつきそろへ、末お取て長きお上とす、天気お見合せ、二三日に干し上ざれば色よからず、若夕立にあへば、色あしきのみならず、さび入て用に立ず、菅お作る地は、深田の稲の出来過るお上とす、相応の地にては、稲におとらぬ厚利の物と雲り、笠にぬふ人手間ある所などは、おほく作るべし、