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草木六部耕種法
五/需幹
莎(すげ)も亦莞の類なり、以て笠お製すべし、此お作る田地お調理(こしらへ)ることは、席草に同じ、苗は古株お秋分の前後十日許の内に掘り出し、其善き所お撰び分て、三四本お一株にして植べし、糞養するも大抵茳蘺に異なること無し、且禽獣魚〓等の肉お、水に漬て腐たる汁お澆るは殊に宜し、春分後に至て心葉の立出たるおば、悉く抜棄べし、然せざるときは繁衍こと能はざる者なり、土用中に刈採て、二三日に急て乾上べし、若し雨に遭か、或は日数かヽりて乾たるは皆色悪く、無用の物と為る、察せずんばあるべからず、〈◯中略〉此莎(かさすげ)は寒国にても繁生する者なれば、耕農お業とする者の作るべきの一物たり、予〈◯佐藤信淵〉も亦上総にて莎お作り見て、熟其利潤お察するに、稲お作るよりは厚し、