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農業全書
五/山野菜
芋芋は軟白沙に宜しとて、ごみ沙などいかにも和らかなる深き肥地の、終日は日のあたらぬ所、或河の辺り、其外少水気の湿気はもれやすき所お好みて、高くかはきたる薄き地などは、すべてよからず、又地はいか程も深きお好む物なれども、種る事はさのみ深くはうゆべからず、ふかさ二三寸にして、上より牛馬糞あくた枯草など、何にても地のふくやぎ、和らぐ物お多くおほひ培へば、子多くさきて、大なる物なり、〈◯中略〉山城の鳥羽にて、瓜田の間に芋おうゆる事は、畦のはヾ一間ばかりもあり、中一通りは瓜おうへ、瓜区(まち)の四方に芋お一かぶづヽ生立おき、瓜お取終りて中うちし、糞お入培ひ、其外手入つねの芋畑と同じ、