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百品考

海芋 一名観音蓮、一名隔河仙、一名旱金蓮、一名一弁蓮、和名まんしゆう(○○○○○)本草綱目、李時珍曰、海芋生蜀中、今亦処処有之、春生苗、高四五尺、大葉如芋葉而有幹、夏秋間抽茎開花、如一弁蓮花、碧色、花中有蘂長作穂、如観音像在円光之状、故俗呼為観音蓮、方士号為隔河仙、雲可変金、其根似芋魁、大者如升盌、長六七寸、蓋野芋之類也、宋祁海芋賛雲、木幹芋葉、擁腫盤戻、農経弗載、可以治〓癘、 周之璵樹芸書、観音蓮、一名旱金蓮、一名一弁蓮、葉如大芋、秋間開白花、止一大弁如蓮、葉中花蘂、頗類仏像故名、 四川総志、海芋木幹芋葉、高四五尺不可食、暖国の産なり、寒にては冬育ちがたし、初は芋苗の如く、長ずるに随て幹お成し、高さ二三尺に及ぶ、幹巨くして横すぢあり、大さ握に盈つ、或は枝お分て鳳尾蕉(そてつ)の如し、葉は白芋(はすいも)と同して厚く光あり、葉背の筋高し、六七月葉心より花お出す、大半夏の花の如くにして大に幅広し、天南星の如くかヽへず、弁端直立して下へたれず、恰も仏像の船ごくわうの如し、花中の蘂、天南星の花蘂に似て長く巨して、観音の像の如し、故に観音蓮の名あり、俗にまんしゆうと雲、薩摩にてばしがしはと雲、一種此に類して、幹お成さヾるものおくはずいも(○○○○○)と雲、即野芋なり、観音蓮 和名みづばせう(○○○○○)南寧府志、観音蓮株葉似芭蕉、花如湧地金蓮、海芋の観音蓮と殊なり、水草にして葉沢瀉に似て、厚大にして脈理なく、長さ七八寸、幅三寸許、黄緑色、一根叢生して芋の如く茎短く、夏根上に別に短茎お抽て花あり、一弁にして長さ三四寸、幅一寸余、色潔白中に長蘂あり、根上葉傍に花お開くこと、全く地湧金蓮(だるまさう)の如し、此草お海芋に充るは謬なり、