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百品考

不灰木 一名阿〓泥(○○○)一名鳳梨 和名えらん(○○○) もくあだん(○○○○○)本草綱目、李時珍曰、不灰木、有木石二種、伏深斉地記曰、東武城有勝火木、其木経野火焼〓之不滅、謂之不灰木、楊慎〓鉛録雲、太平県宇記雲、不灰木、俗多為鋌子、焼之成炭而不灰、出膠州、其葉如蒲草、今人求以為燎、謂之万年火把、此皆言木者也、時珍常得此火把、乃草葉束成而中夾松脂之類、一夜僅焼一二寸爾、中山伝信録、阿〓泥、葉長傍有刺、久成林、連蔓堅利、可為藩牆、葉可造席、根可造索、開花者為男木、花白如蓮弁合尖、左右迸畳、十余朶直上、五椏、蘂露如杖、長数寸、芳烈如橘花、女木無花結実、大如瓜、膚紋起釘、皆六稜可食、即波羅蜜別種、粤東亦有之、名鳳梨、台湾府志、鳳梨、葉似蒲而闊、両傍有刺、果生叢心、皮似波羅蜜而色黄、味酸甘、末有葉一簇、因形状類〓鳳、故名、万年火把は舶来多し、俗に百里だいまつと雲、長さ一尺余、径り一寸許、万年青(おもと)の如き厚き葉お巻き、中に松脂の如物お包めり、火お点ずれば能燃て、風雨にも滅えず、至て明なり、此葉お披き察すれば、阿〓呢の葉なり、然れば木の不灰木は阿〓呢たること必定なり、阿〓呢和名えらん又木あだんと雲、琉球の産なり、甚寒気お畏る、冬は土窖に収ても枯易し、葉は文珠蘭(はまゆら)に似て細く、正中より折たるが如し、葉厚く堅して蒲葵(びらう)椰子の如く、葉の両辺及び脊道に逆刺ありて鉤の如し、又万年青の葉に似て薄くかたし、葉の末至て細長し光沢あり、一処に攅簇すること文珠蘭の如し、年お経て丈余に至り、花お開き実お結ぶと雲、此〓お採て墨お浸し字お書すべし、俗にあだん筆と雲、此〓舶来多し、新実は蒔て生じ易し、