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重修本草綱目啓蒙
九/芳草
杜若 やぶめうが(○○○○○) さヽりんだう(○○○○○○)〈紀州〉 めうがさう(○○○○○)〈加州〉 ちくらんさう(○○○○○○)〈薩州〉 はなめうが(○○○○○)〈播州〉 増一名鮮草果〈広東新語◯中略〉杜若は多く竹木林下に生ず、春旧根より箸の大さ許の茎お出す、数寸の上に七八葉お互生す、蘘荷の葉に似て茎葉ともに糙澀す、面は深緑色、背は淡し、中心又茎お抽こと一尺余、その梢に六弁の小白花、層おなして開き、長穂おなす、花に光沢あり、蝋花のごとし、円実お結ぶ、初は白し、後ち緑色縹碧色黒色に変じ、熟して又白色となる、内に細黒子あり、三角にして凹なり、山薑(はなめうが)の子に似て至て小し、秋冬苗枯れて白行根お多く生じ、横に引こと二三尺、其状旋葍(ひるがほ)の根に似たり、これ若水翁の証するところなり、