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重修本草綱目啓蒙
十/湿草
灯心草 い(○)〈古名〉 いぐさ(○○○)〈仙台〉 にぐさ(○○○)〈南部〉 あみ(○○)〈勢州〉 ひめすこ(○○○○)〈薩州〉穣の名は とうしみ〈和名抄〉 とうしん とうすみ〈勢州〉 じみ〈肥前〉 とうじみ〈同上〉 とうしめ〈南部〉 とうすん〈雲州〉 いのみ〈佐州〉 一名 焼底賎〈袖中錦〉 古乙心〈郷薬本草〉 席草〈薬性要略大全〉 灯草〈本草原始〉原野下湿地及池沢の傍に多し、自然生は皆苗短細なり、江州にては冬より夏に至まで水田に栽ゆ、これお灯草田と雲、その草長大にして五尺に及ぶ、采て席に織るお近江席と雲、其席備後席に比すれば甚粗にして下品なり、草長き故に中にて継がず、〓波よりも此席お織り出す、〓波席と雲、又此草中の白穣お出して灯火に供するお灯心と雲、其皮おいがらと雲、粽おくヽるに用ゆ、灯心に熟草生草の別あること宗奭の説に雲り、煮て心お出すお熟草と雲、煮ずして心お出すお生草と雲、薬には生草お佳なりとす、今常用の者は皆熟草なり、