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大和本草
六/薬
百合 本草に百合と雲へるは花白きお用ゆ、日本に関東ゆり薩摩ゆりなど雲類也、薬に入べし、巻丹(○○)は百合に非ず、薬に不可用、隻食すべし、百合は何れも味苦し、食するにたへず、巻〓はおにゆりと雲味よし、前にしるせり、百合は根の上茎の下に子生ず、巻〓は葉間に実生ず、二物の子生ずること不同、ひめゆりと雲物あり、山〓(○○)也、五月に花お開く消やすし、又ひゆり(○○○)あり、是もひめゆりのるい也、花深紅色也、年々土おかへて改うふべし、不然ば消やすし、むかしは百合の品多からず、近年世に其花お賞す、故其品やうやく多し、幾十種と雲事おしらず、百種に及ぶ、其花向天あり、向地あり、傍向ふあり、