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重修本草綱目啓蒙
七/山草
知母 やまし(○○○)〈和名抄〉 はなすげ(○○○○) からすヽげ(○○○○○) からすのすヽき(○○○○○○○) 今は通名 一名孝梗〈輟耕録〉 〓茓〈品字揃〉春旧根より叢生す、葉は芒葉の如にして狭く、厚くして深緑色、長さ二三尺人お傷らず、夏月叢葉中に茎お起す、高さ亦二三尺その端一尺許、小長花繁く綴りて穂お作す、淡紫碧色後細莢お結ぶ、長三四分、内に三稜の黒子あり、地に下して生じやすし、又花お開かずして茎上に零余子(むかご)の如きものお生じ、直に芽お発するものあり、茎お断て栽れば、即繁茂す、凡子種より三年お歴るものは其根用ゆべし、根は皆横生す、形万年青(おもと)根の如くにして瘠横文多し、黄褐毛あり、切れば肉茶褐色、舶来の者は形肥大にして鬚あり、潤なし、上品とす、朝鮮は唐に同くして微く短し、和は形細長く鬚なくして潤あり、下品とす、薬舗に鳶尾(いちはつ)根お雑るものあり宜しく択び去るべし、