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古事記伝
十九
賀美良比登母登、美良は韮なり、和名抄には、薤、和名於保美良、韮和名古美良と見え、字鏡には薤奈女弥良、韮太々弥良、また〓韮弥良と見ゆ、万葉十四〈十八丁〉に、久君美良ともよめり、〈茎韮なるべし〉さて賀美良と雲は物に見えず、別に一種か、又たヾの韮にて臭韮と雲るにても有べし越前国敦賀郡鹿蒜も臭蒜の意の地名歟、式には加比留神社とあり、〈書〓釈には、謂大韮と雲れども拠お知らず、契沖は賀は、か青か黒などの加にて、助語歟と雲れど、さも聞えず、又延佳は、和名抄の古美良お引たれども、古の通音ともきこえざるなり、〉美良、後には爾良と雲り、