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塩尻

今俗疫病流行の時、蒜お戸にかけ侍るは、如何なるまじないにやと問ふ人あり、漢家の書にある事見及び侍らず、我旧記には、古事記に日本武尊足柄の坂本にして、食御粮したまふ時、山祇荒振神に蒜お以て弾きかけ給へる事おしるせり、是山気の瘴邪お除のよしなりとぞ、かヽる事お伝へて、除疫のわざにし侍るにや、 右者備忘雑著に見えたり