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重修本草綱目啓蒙
十五/蔓草
菝葜 うぐひすのさる(○○○○○○○)〈古歌〉 さるとり(○○○○)〈和名抄〉 おほうばら(○○○○○)〈同上〉 さるとりいばら(○○○○○○○)〈京〉 わさんきらい(○○○○○○) かきいばら(○○○○○) いびついばら(○○○○○○) かめいばら(○○○○○)〈筑前〉 がめいげ(○○○○)〈同上〉 がんたちいばら(○○○○○○○)〈勢州〉 がんたち(○○○○)〈同上〉 えびいばら(○○○○○) がらたちばら(○○○○○○)〈讃州〉 からたち(○○○○)〈土州〉 さるとりいぎ(○○○○○○)〈防州〉 ほうてういぎ(○○○○○○) ほてんどう(○○○○○)〈共に同上〉 みヽづくいばら(○○○○○○○)〈泉州〉 むまがたぐい(○○○○○○)〈備前〉 むまかたいばら(○○○○○○○)〈同上〉 ぼてぐい(○○○○)〈備後〉 がんないばら(○○○○○○)〈佐渡〉 かないばら(○○○○○)〈同上〉 かたら(○○○)〈石州〉 もがきばら(○○○○○)〈仙台〉 もがくばら(○○○○○)〈南部〉 もんがくばら(○○○○○○)〈同上〉 くは〳〵らいげ(○○○○○○○)〈薩州〉 しやうがくばら(○○○○○○○)〈信州〉 ふきだま(○○○○)〈同上、小葉麦門冬と同名、〉 さるかけいばら(○○○○○○○)〈越前〉 さるかきばら(○○○○○○)〈越後〉 さるかけいげ(○○○○○○)〈肥後〉 さいかちいばら(○○○○○○○)〈加州〉 しりがせいばら(○○○○○○○)〈播州酒見北条〉 むまぐい(○○○○)〈同上姫路〉 かめのかういばら(○○○○○○○○)〈同上〉 がんらいいばら(○○○○○○○)〈能州〉 ごきいばら(○○○○○)〈同上〉 かたらぐい(○○○○○)〈芸州〉 いぬばら(○○○○)〈予州〉 いぎんどう(○○○○○)〈長州〉 いちび(○○○)〈熊野尾鷲〉 ばんがち(○○○○)〈同上三木〉 かごばら(○○○○)〈上総〉 五郎四郎し(○○○○○)ば(○)〈西国〉 一名金剛骨〈附方〉 抜穀〈同上〉 金剛刺〈救急本草〉 老君鬚〈同上〉 荊岡柮〈薬性要略大全〉 金岡柮〈本草精義〉 鼈児欃根〈本草蒙筌〉俗に誤て和の山帰来と雲ふ、山野に多し、蔓は節ごとにゆがみて、質堅く光りあり、大なる者お箸と為し牙杖と為は、歯お堅くすと雲ふ、春旧藤の節間より新藤お出し葉互生す、葉ごとに二鬚ありて物に纏ふ、葉は円扁厚滑、大なる者は三四寸、其筋皆竪直なり、又正円なる者あり、又微長にして柿葉に似たる者あり、又葉初出のとき紫斑ある者あり、又細長にして竹葉に似たる者あり、皆蔓に〓き刺あり新葉間に穂お出す、長さ一寸余、六弁の小花お簇り開く、大さ二三分、浅黄微緑色、後実お結ぶ、正円、大さ無患子の如し、生は緑色、秋に至り熟して朱紅色観るべし、山人食ふて渇お解す、其根は萆薢に似て長大凸凹多し、市人多く土茯苓に偽る、菝葜根は隻屠蘇散に入る、其他用ゆること希なり、一種木本の者山野甚多し、高さ一尺許、大なる者は二尺に至る、枝多して鬚なく刺あり、葉は小くして楕或は円、一寸許に過ず、花小く実亦小にして二分許、秋に至て紅熟す、是救荒本草の山藜児一名金剛樹一名鉄刷子なり、阿州にて平家醋と呼ぶ、増、一種小葉のものあり、高さ四五寸、葉の大さ三分許にして円し、夏月花実お生ず、形常のものに似たり、