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貞丈雑記
一下/祝儀
一正月の祝、又女の髪そぎの祝などに山菅お用る事あり、やますげとは麦門冬の事也、此草冬も葉青くしてかれぬ物也、雪霜にもいたまぬ物ゆへ、祝に用る也、麦門冬に葉の大成と細なると二品あり、葉の大なるお山すげ〈と〉雲、細なるおばじやうがひげと雲、〈りうのひげとも雲〉雨だり落る所などへ植る草也、室町将軍正月御祝の供物に大山形と雲物あり、それに山菅お用る事、大草流正月祝儀飾の絵に見えたり、