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剪花翁伝
三/五月開花
万年青 老母草 藜蘆、 周屋 花黄也、開花五月、方二分陰、地中湿り、土砂雑、肥油粕年中用ふべし、又にしん絞粕よく乾、おのづから粉となりしお入べし、干鰯などの油物は悪し、是もよく乾きたるは粉にして入るヽも可也、されどにしんには如ず、分株、下種、移両彼岸共にしかるべし、花壇に植るもよし、大概盆栽の方勝れり、夏日は葭簀お以日覆すべし、夕方より取はらうべし、冬日は風寒雨霜お防ぐべし、種類多し、挿花に用ふるの其三四種は、都の尉、宗碩、長島、筑前、久安寺、此外白縦斑、黄縦斑等、種類異名なるもの数多也、花実葉四季に応じて用ふるもの也、因雲、葉筒に成て、左右合せ目なし、形恰吹矢の羽のごとし、長九寸許、才に一株而已、豊後より産す、一覧せしに寔に希代の雅種なり、