[p.1085]
草木性譜

吉祥草〈本草拾遺〉山中の産にして陰湿の地に叢生し、地上お横行す、葉形くさらんに似て浅緑色、冬萎まず、夏新葉お生じ、秋新旧の葉間に紫茎お抽で、五弁の小花お開く、面白色背紫色黄蕊あり穂おなす、其実翌歳冬に及で漸く熟し紅紫色、俗に雲此花希なり、花ある時は其家必ず吉祥の事有りと、閩書雲、家有吉事定自開花、故名吉祥、又花鏡雲、花不易発、開則主喜と、或は雲ふ十歳に一たび花お開と、蓋し繁茂すれば即花あり、希に非ず、又きちじさう〈漢名未詳〉と雲ふあり、俗に吉事あれば花お開くと雲ふ、繁茂すれば即花あり、