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重修本草綱目啓蒙
八/山草
石蒜 まんじゆしやけ(○○○○○○○)〈京〉 しびとばな(○○○○○)〈同上〉 てんがいばな(○○○○○○)〈同上〉 きつねのいも(○○○○○○)〈同上下久世〉 ぢごくばな(○○○○○) からすのまくら(○○○○○○○) けなしいも(○○○○○) きつねばな(○○○○○)〈備前〉 さんまいばな(○○○○○○)〈勢州〉 へそび(○○○)〈同上粥見、凶年には団子となし食用す、へそびだんごと雲ふ、〉 ほそび(○○○)〈同上〉 したかりばな(○○○○○○)〈同上松坂〉 きつねのたいまつ(○○○○○○○○)〈越前〉 きつねのしりぬぐひ(○○○○○○○○○)〈同上〉 すてごのはな(○○○○○○)〈筑前〉 すてごぐさ(○○○○○)〈同上〉 したまがり(○○○○○)〈江州〉 うしのにんにく(○○○○○○○)〈同上〉 したこじけ(○○○○○)〈同上和州〉 ひがんぐさ(○○○○○)〈仙台〉 せう〳〵ばな(○○○○○○)〈同上〉 くはえんさう(○○○○○○)〈同上〉 わすれぐさ(○○○○○)〈同上〉 のだいまつ(○○○○○)〈能州〉 てくさりばな(○○○○○○)〈同上〉 てくさりぐさ(○○○○○○)〈播州〉 ふぢばかま(○○○○○)〈同上三け月〉 しびればな(○○○○○)〈同上赤穂〉 ひがんばな(○○○○○)〈肥前〉 どくすみら(○○○○○)〈同上〉 きつねのよめご(○○○○○○○)〈同上〉 おほすがな(○○○○○)〈熊野〉 おほいヽ(○○○○)〈同上〉 まんじゆさけ(○○○○○○)〈同上〉 ゆうれいばな(○○○○○○)〈上総〉 かはかんじ(○○○○○)〈駿州〉 すヾかけ(○○○○)〈土州〉 うしもめら(○○○○○)〈石州〉 はぬけぐさ(○○○○○)〈豊後〉 じゆずばな(○○○○○)〈予州〉 いちやによろり(○○○○○○○)〈同上今治〉 ほどづら(○○○○)〈同上松山〉 てあきばな(○○○○○)〈丹波笹山〉 きつねのあふぎ(○○○○○○○)〈濃州〉 うしおび(○○○○)〈同上〉 いつときばな(○○○○○○)〈防州〉 やくべうばな(○○○○○○)〈越後〉 はみずはなみず(○○○○○○○)〈加賀〉 一名石垂〈三才図会〉 天蒜〈南産志、女南甫史〉 重陽花〈花暦百詠〉 酸頭草〈附方〉 兎耳草〈証治準縄〉 脱紅換錦〈広東新語〉 脱緑換錦〈同上〉 脱衣換錦〈同上〉翻訳名義集に曼珠砂、此に朱華と雲、俗にまんじゆしやけと雲は此に拠なるべし、又小児これお玩べば言語屈し、故にしたこぢけと名く、原野甚多く、千陌道傍皆あり、一根数葉、葉は水仙より狭く長さ一尺許、緑色にして黒お帯ぶ、厚く堅くして光あり、夏中即枯、七八月忽円茎お出す、高さ一尺余、其端に数花聚り開く、深紅色六弁にして細く反巻す、内に長鬚あり、花後円実お結ぶ、実熟して茎腐し新葉お生ず、冬お経て枯れず、根の形水仙の如く、大さ一寸許、外は薄き茶色の皮にて包む、内は白色、これお破れば重重白薄皮なり、一種白花のものあり、此お銀灯花と雲、秘伝花鏡に見えたり、〈◯中略〉増、石蒜の根お取り水飛して、葛粉お製する如くして賤民食用とす、阿州一宇山の俗水粉と呼ぶ、或はかたくりに偽る、その味能く似たり、然れどもその製麁なる時は、大に人お酔はしむ、又石蒜汁に黄糵の末お加へ、即効紙に代用す、