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大和本草
七/草花
水仙 金盞銀台お上品とし、千葉お下品とす、うふるに鉄器おおかせば三年花さかずと雲、海のかたの土お用ひてうふれば花多し、五月の初に根おほりて、小便に一夜ひたし、ほして七八月に肥土に間遠くうふれば春花多し、又九月初に可植と、諸書に見えたり、早く栽れば葉茎長過てあしヽ、湿地もよし、糞小便すヽかやかまどのやけ土など宜し、〓(かた)土猶よし、北ふさがり南にむかへる陽地にうふれば花早し、樹下に植ても花開く、又二年三年は夏間其まヽ根おほり出さずしておくも無害、如此すれば苗早く生じて、長じ過てあしヽ、ほり出せる根おおそくうふれば葉茎短し、根おほり出す時、側子お可分、花おきるに根のきはよりきれば根いたむ、根の三四寸上よりきるべし、瓶にさすには塩水お用てやしなふべしと、花鏡に見えたり、梅花も又しかり、名花譜曰、霜降後搭棚遮霜、雪に不折ために早く掩ふべし、王思義三才図会曰、余家香雪林常蒔数畝、毎花時芳気撈人といへり、本邦好事の家亦有如此者、根の皮お去研くだき、日〈に〉ほして収おき、打目つぎ目に乳汁に和してつくる、又黒焼にして乳汁に和しつくる、甚効あり、本草に此能おのせず、