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重修本草綱目啓蒙
八/山草
水仙 せつちうくは(○○○○○○)〈下学集〉 はるたま(○○○○)〈大坂〉 きんだい(○○○○)〈房州〉 今は通名一名凌波客〈花鳥争奇〉 水鮮〈草花譜〉 凌波仙子〈典籍便覧〉 凌波子〈名物法言〉 雅蒜〈女南甫史〉 雅客〈事物紺珠〉 麗蘭〈三余記〉 配玄〈同上〉 銀台金盞〈中山伝信録〉 増一名女星〈三余記〉 歳寒友〈学甫雑疏〉 女史花〈内観日疏〉 姚女児花〈同上〉 波上霊妃〈事物異名〉 栗玉花〈同上〉 黄玉花〈同上〉 玉蕊花〈同上〉花に単弁あり、千弁あり、単弁のものお金盞銀台と雲ふ、同名あり、銀の盃杔に金の盞お載たるに象どれり、千弁の者は一弁ごとに黄色なるものありて、盞の形おなさず、これお玉玲瓏〈秘伝花鏡〉と雲ふ、又一種千弁にして淡緑色なる者希にあり、これは白花の変じたるものなり、紅花のもの越後にありと雲、然ども未だ見ず、群芳譜に、唐玄宗〓国夫人に、紅水仙十二盆お賜ることあり、名花譜に諺曰、五月不在土、六月不在房、栽向東籬下、花開朶朶香、女南甫史に五お六に作り、六お七に作り、花開お寒花に作る、水仙単葉の者は皆六弁なり、而るに時珍五尖と雲者は誤れり、諸書に多くこの誤お襲ふ、たヾ広東新語に六弁と雲是なり、本邦たまたま変じて五弁なる者あれば最奇品とす、又酉陽雑俎〓祗の文は、十四巻山奈の条にも引て山奈のこととなす、此には水仙のこととす、水仙の説お是とすべし、増、一種重弁淡紫のものあり、又蛮産のものあり、文政十三年に舶来す、奇品なり、