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筆のすさび

万葉集四にある所の浜木綿といふ草は、一名浜芭蕉一名浜おもと共雲、広東新語にのする所の文珠蘭(○○○)なり、芭蕉に似て小なり、茎幾重となく重り、花は夏の末より秋に至て開く、極めて潔白なり、形百合のごとし、十二花漸々上へ咲上る、紀州熊野海辺に多く生ず、花盛の時は白木綿お見るがごとし、よつてはまゆふと名づく、