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重修本草綱目啓蒙
十九/柔滑
土芋 けいも(○○○) かしゆういも(○○○○○○) かしゆう(○○○○)〈東国〉 ぜつぷ(○○○)〈遠州〉 ぜんぶ(○○○)〈相州〉 べんけいいも(○○○○○○)〈仙台◯中略〉これは薯蕷の類にして蔓生なり、葉は薯蕷より円、大五寸許、秋時葉間に穂おなし花お開く、山萆薢穂に似たり、別に子お生ず、零余子より大にしち円扁一寸許、周辺にいぼあり、褐色、秋後苗枯る、根は年お経て漸く大になる、形円扁にして三四寸許、蒻頭(こんにやくいも)に似て粗鬚多く味苦し、故に灰汁お以洩過し、再煮食ふ、色黄にして栗の如し、是蔵器後説及恭の説の土芋なり、又蔵器の前説は別物なり、俗名ほど、一名ふど、〈紀州〉つちくり、〈江州〉しばぐり、〈同上〉一名香芋、〈食物本草〉土〓児、〈救荒本草〉地栗子、〈同上〉山中に生ず、藤蔓紫黒色、葉互生す、形小豆葉に似て五葉、夏月葉間に花お生ず、数蕚穂おなす、長さ一寸余、形豆花の如にして、浅黄微紫色、其根も蔓にして数塊お連ぬ、形鶏卵の如く黄赤色、奥州南部には端午に根お用て節物とす、 又一種三葉なる者あり、みづほど、〈和州〉と雲、一名まめつる、〈土州〉