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東雅
十五/草卉
昌蒲あやめぐさ 倭名抄に養性要集お引て、昌蒲一名臭蒲、あやめぐさといふと註せり、唐本草に拠るに、昌蒲お臭蒲といふは香蒲に対し言ふなり、李東璧本草に、昌蒲凡五種ありと見えたり、此にあやめぐさといふものは、白菖渓蓀の類也、此に石菖蒲といふものヽ類は、即真の昌蒲なるなり、此に高麗石菖蒲といふものは、銭蒲といふもの是也、あやめといふ義不詳、昔も此物の名によりて相論の事ありなど雲ひ伝へしなり、