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地錦抄附録

花菱石竹(はなびしせきちく) 花形紋所の花びしのかたちにて、色上々の紅、ながめすぐれてよし、五月中旬、つねの石竹同時に花開く、又一種花形同断にて、うす色ほんのりときれいなるあり、桜びしといふ、又一種花形同断にて、白地に紅のさらさとびいり有、さらさ花びしといふ、又一種桜色にてやえにひらくあり、やえ花びしといふ、又一種花形切りさきて、せんやう白花有、はぐまといふ、右何も花形異風にしてかはりたる物也、総名おいぎりすといふ、せきちく也、咲分白菖(さきわけあやめ) 花形つねのあやめなり、花白地にあさぎ色のさらさ、さきわけのごとくにあり、四月咲、鷹羽白菖(たかのはあやめ) 花はつねのあやめにて、むらさき色、四月さく、葉に鷹の羽のごとくなるもやうあり、琉球菖蒲(りうきうしやうぶ) 花形丸く極大りん、指渡し曲尺八九寸余迄、花中のくもでほこ花かつこうよりちいさく異形也、うす紫のうすくきヽやう色也、五月咲、葉大く長く高さ六七尺ほどまで立のびる、琉球国より種来るよし、