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草木育種
下/薬品
菖蒲(せきしやう)〈本草〉 種類数十品あり、漢土西湖の辺に生ずるもの舶来(もちきた)る、其形状本邦の石菖に変ことなし、又有栖川と雲は葉の先皆上に向、これ又漢種なりと雲、又竪に黄色の筋あるお黄金又虎の巻などヽ雲、又葉の面白く背青きお昼夜と雲、其外高麗、雞尾等色々有、又両根と称するものは、根の両面より鬚根お生ずるお雲、常の石菖にも多き中には自然に両根になりたるものあり、又両根お拵る法あり、常の石菖は皆根の腹より鬚お生ずる也、片根なるお以て、葉と鬚お剪て、根ばかりお竪に起て植置ば、両方より根お生るなり、然れども久く植置時は、又常のごとく片根に返る也、又石菖お石に著るには、葉お剪て根お石へ添て、細き針金にてしかと巻て、絶ず水お灌ときは、鬚根皆石に著もの也、花鏡曰、鼠糞蝙蝠屎お水に和し澆ば栄るといへり、